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団子がない!

    一昨日は中秋の名月、十五夜でしたね。



    そんなことすっかり忘れてたけど、


   13-09-19_1759.jpg


            荒川河川敷で見た月です。

             夕刻だったので、薄っすらです。

        荒川河川敷には、たま~に散歩にやってきます。



   13-09-19_1754.jpg


             ついでに、葛飾ハープ橋




   13-09-19_1752.jpg


      エヘヘ、ここは知らないワンコが多いんだよ。

           緊張で笑顔も引き攣っちゃうよ。





   翌日のことですが、実家の父から電話がありました。


「あ、俺。団子、どうしたんだ?」

  「へ? 団子?」

「昨日、団子頼んだだろ?」

    
      へ? 団子? dango.jpg


「団子買ってきてくれるようにって、頼んだじゃないかっ!」

     
      頼まれてなんか、いないんですけどね。


   離れて暮らす父が私に頼む買い物の用、

 これ、会社勤めする同居の姉に伝言を頼むという意味なのです。

「○○(←姉のこと)に『帰りに△△買ってきて』って伝えてくれ」という電話、

    これまでも何度となく受けてきました。

「米が足りないから買ってきてって伝えて」

「晩のオカズが足りないからって伝えて」

「煙草買ってきてって伝えて」

そのほとんどが「在庫はあるし」「オカズは足りてるし」といった、

     緊急性も感じられない内容のものばかりなのですが……。

  取り敢えず「伝えておくね」と返せば父も安堵するので、

    その要不要を問わず、私はただ機械的に、

  「じゃあ、そう伝えておくね」と答えるのです。
    

     前日も確かに、父からの電話はありました。

「『キンカン買ってきて』って、伝えてくれる?

      蚊に刺されちゃってさぁ、あっはっは~」

   キンカンって、よく見るあれです。 kinkan.jpg


   キンカンって、まだたくさん余ってたじゃん。

     実家を、前日訪ねたばかりでした。

  瓶の1/3くらい残ってる筈だよね、
      
       今年はもうそんなに使わないよね。

     それでも、私はこう返します。

  「じゃあ、そう伝えておくね」 

    そう答えることで父は安心するし、

  むやみに探し回って混乱することもないからです。

   実のところ、父の座る目の前にある筈なんですけどね。


    それが翌日になって、あの電話です。

「『団子買ってきてくれ』って。

    ○○(←姉のこと)に伝えてくれって頼んだだろ!」

   あの~、頼まれてませんけど。

  「頼まれてないよぉ。

    『キンカン買って』って頼まれたけど」

「キンカンなんか頼まないよ。団子って頼んだんだ!」

  「え~、団子なんか言ってなかったよ~」

      メンドクサイな~。

    それでも……、

癇癪を起した父が唾を飛ばしながら話す姿が脳裏に浮かぶと、

     私はただ口を噤んだまま、

  嵐が行き過ぎるのを待つより外ありません。


「昨日は十五夜だったじゃないかっ!

   廊下(の窓)開けて、ススキ飾って……。

  団子買ってきてくれるのを、

     楽しみにしてたんだっ!!!」


        あ! へ?

    そんなに楽しみにしてたの? 団子を?

         
   月見団子を楽しみにしてた!……なんて、

    まるっきり、子供が喚き散らす内容でしょ?

  笑いを噛み殺しながらその一方で、

私は父のことが、なにやらひどく可哀相に感じられ……。

 そして、娘に憐れみの気持ちなど抱かれている父に、

      更なる悲哀を覚えてしまうのでした。


   その後も興奮した父の気持ちが治まる気配は見られず……。

  「じゃあ、私が聞き間違えたんだね。

         申し訳ございませんでした」

  電話口に鼻をすすり上げる音を擦り付けながら、

     私はただ淡々と謝罪の言葉を口にしてみせたのでした。

 泣く気もなければ、勿論謝罪の気持ちなど微塵もありません。

「うん、じゃあ」

    そう言うと、父は早々に電話を切りました。

  納得したとも思えませんでしたが、

    ただ騒音が行き過ぎてくれた……そう思いました。



   その後暫くすると、

  父は再び私のところへ電話を寄越してきました。

「キンカンがないんだ。買ってきてくれるように言ってくれる?」

     そしてその数時間後にも、

「目薬がないんだ。買ってきてくれるように言ってくれる?」

   どちらも恐らく、買う必要のないものです。


癇癪を起こし無暗に責め立ててしまった娘の機嫌を伺いたかったのか、

    頼み事を口実にただ人声を聞きたかったのか、

   或いはすっかり呆けてしまい、

 必要のない買い物をただ繰り返そうとしているだけなのか、

      本当のところは娘の私にも分かりません。


   ただ、日がな一日、暦を捲っては季節の移ろいを意識し、

  暦の中の年中行事を気に掛け、

     それらをつつがなく執り行い、安堵し、

 それからまた次の季節行事を心待ちにするくらいしか楽しみの残っていない父のことを思うと、

  月見団子を楽しみにすることを笑うことも責めることも、

     この私にその資格などないのだと気付かされ、

 明日また父の緊急性のない電話を受けることがあったとしても、

    私はただ笑って「大丈夫だよ、伝えておくからね」と

       答えてあげようと思うのです。


   本当はすっかり忘れてしまっていたけれど、

     団子を飾ってのお月見、

       風情のあるものですよね。





     最近のおいらは、


   13-07-17_2209.jpg


       プルートの下に潜り込むのがマイブーム 


  
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何だか

たもつ先生親子の情愛に
微笑ましくもあり、哀しくもあり、

秋をしみじみと感じたりしましたぁ…。

ブルートにもぐるたもちゃん、カワイイ(^o^)
アルマだったらカミカミです。

No title

お父様のルール、ちょっと面倒くさくもあり、微笑ましくもあり、ですね。
季節の行事って最近ついないがしろにしてしまいがち。
以前は食べ物がからむ行事は外さなかったんですけど(笑)

たもちゃんのブームで季節が移って行くのがわかりますね〜!

お父さん、寂しいんでしょうかね?
特に男親ってそんな感じですよ
年を取るにつれ…と私は感じます。
うちは定期的に同じ事を聞いてきて、最後は私が怒るんですがね
単純に忘れてるのか(いや、忘れないくらい同じ事を毎回言ってる)話したいけど話す事がないからなのか?
たもつ先生は優しいです。私はついカチンときてしまいます( ̄∀ ̄;)
人間年取ると寂しくなると言いますからね~もっと優しく対応しなきゃ

No title

たもつ先生とお父さんとのやり取り
なんかやるせなくなってしまいました、
最近の私と実家とのやり取りのようで!
お盆明けから、此処の所余り実家に足が向かず、
行っても必要な事だけしてパタパタと帰ってくる私!
でも、何とか理由をつけて来させようと電話してくるんですよi-203
なあなあで相槌を打ち今度行くから!で終わるんですが・・・・
親の気持ちも解るんですが、それより自分の方の事を優先している私がいるんですよねi-181
きょうねぇさんのように
    もっと優しく対応しなきゃ ですね!

アルままさま

微笑ましくなんかないんですよぉ、すっかり振り回されておりますよ。
けど、十五夜とかすっかり忘れておりました。
実家にいたときは季節の行事を欠かすことなんてなかったんですけどね。

プルートに貼り付いてると落ち着くみたいなんですよね。
さすがに、この大きさだと振り回す気にはならないようです。
ミニプルートだったら、たぶんカミカミです i-229

paraさま

父のルール、もの凄~く面倒臭いです i-237
昔の人なので、季節季節の行事をもの凄く大切にするんですよね。
実家を離れてから、私は結構忘れてしまっています i-229
食べ物がからむ行事……、オハギ食べたり草餅食べたり?、そういうことはうちも忘れないかな~ i-278
たもつの場合は、グズグズ散歩からダッシュ散歩に変ったら、秋に変ったんだな~と分かります i-179

きょうねぇさま

父は、寂しいんでしょうねぇ、たぶん。
男が残されると、本当に可哀相です。
母が残されてたら、たぶんノビノビしちゃってとんでもなく長生きしてくれたんだろうな~なんて思います。
同じ事を話すって、これ、うちも相当ヒドイ状態です。
けど、うちの場合は私たちが子供の頃からのことなので、父が呆けたのか以前のままなのかちょっと分かり難いんです。
まあ、確実に呆けてきてはいるんでしょうけどね。
話したいけど話すネタがないって可能性も確かにありますね。
私はちっとも優しくないです。揉めるのがメンドーなだけで。
親に優しくするって、結構難しいですよね。
他人には愛想よくできるんですけどね i-278

tibikarinnさま

子供の方が頭の中がしっかりしてきちゃってる状態、これ、なんだか居心地が悪いんですよね。
けど、親は色んなこと忘れやすくなってるし、同じことくどいくらい繰り返すし。
イラッとしちゃうこと、結構ありますよ。
私は「いつ来られる?」って訊かれるのが嫌で、訊かれる前に行っちゃいます。
プレッシャーに弱いんですよね。
親のこと大切に思う気持ちに変わりはないんですが、一緒に暮らす家族が第一。
そう思ってないと、色んなところが崩壊しちゃいますよね。
バランス取るの、なかなか難しいです i-229
プロフィール

たもこ

Author:たもこ
生後2ヵ月で我が家にやってきた柴犬たもつ。
日々進化を続けるたもつと彼に翻弄される犬素人夫婦の日常を綴ります。
旧名たもつ先生です。
たもつ ♂ 
2007年10月19日生まれ

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