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実らない秋

    実家の柿の実が不作です。



  12-10-17_1514.jpg


              先週の柿の木

         薄曇りで見えにくいですが……。



  写真の左上の方に2つ3つ実をつけていましたが、


実家の柿の木、今年はほとんどと言っていいほど収穫を望めそうもありません。


     猛暑の影響なのでしょうか。


 それとも、昨年の大豊作が影響して柿の木に栄養が足りていないとか……。


   道路の掃き掃除をしていると、


 見知らぬご老人と父が立ち話する声が聞こえてきました。


  「葉っぱが落ちて大変ですねぇ」


「えぇ。今年は葉っぱが落ちるばかりで、実の方が全然なんですよ。

         去年は本当によく実ったんですけどねぇ」


  「柿は2年置きって言いますもんねぇ」


「あぁ、やっぱりそうですか。じゃあ、今年はダメですかねぇ。

    去年は食べきれなくて、ご近所にも随分配ったんですよ」



 昨年の秋、実家の柿の木はそれこそ狂ったように実をつけました。


  金赤に染まった柿の実は瑞々しさからその重みに耐えかね、


塀際に植えられた木の枝先からぼとりぼとりと道路の上へ落ちるのです。


    落ちた柿の実は、


  時に自らその実を弾き、時にトラックの下敷きとなり、


   アスファルトの上、周囲に悪臭を放つようになります。



 落ちた柿の実の後始末に追われる娘たちを尻目に、


「とてもじゃないけど食べきれないなぁ」


  「近所に配っても配っても配り切れないよぉ」


 と、枝垂れるほどに実をつける柿を見上げながら


    父は頬を紅潮させました。



 昨春、外界(近所)と家とを取り持っていた母が逝き、


  我が家が陸の孤島になることを懼れる父にとり、


その秋の柿の豊作はまさしく「蜘蛛の糸」だったのでしょう。


   「ほら、柿採らなきゃ」


 週に1度実家を訪ねる私を庭に駆り出しては、

 
    梯子を立て木によじ登り、


 父は夥しいまでに生り続ける柿の実に手を伸ばします。


   「危ないから、もう下りてきなよ~」


  娘の声が届いているのかいないのか、


 2階までも届きそうな高さまで、


   父は夢中で登り進めていってしまうのです。


 風に揺れる枝先に震える指先を伸ばす父の姿に、


  私は何度冷や汗を拭ったか知れません。



    父は口下手です。


  正確に言うと、父は、内弁慶です。


   その父が袋いっぱいの柿の実を抱え


  「食べきれないので良かったらどうぞ」


  などと言いながら近所に配って歩く姿を思うと、


 「柿の実なんか放っておきなよ」


    とは言えませんでした。



 柿の実のお陰かどうかは分かりません。


  それでも、


  「オカズ作り過ぎちゃったからどうぞ」とか


 「ピザ焼いたのよ、お父さん食べるかしら」とか


    母が居た時と変わらず、


近所の方々が庭を父のところを訪ねてくれるようになりました。  


   

   その実家の柿が、今年はまるで実をつけないのです。


 それでも木の方だけは元気なのか、


   この夏も柿の木を覆い尽くすように葉を茂らせました。


    そしてこの季節、


 舞い落ちる枯れ葉は瞬く間に道路を埋め尽くし、


    腰を曲げたまま掃き掃除に追われる私は、


  時に柿の木を恨めしげに見上げては、


彼らが丸裸になる日を今日か明日かと待ち侘びているのです。



   この1年で、父の足腰も相当に弱りました。


 この秋庭の柿の木がその実をつけても、


  2階の高さまでよじ登る体力が、


   父にはもはや残ってはいないのです。




    この秋、柿の木がその実を結ばないのは、


 父にとっても家族にとっても恐らく最良の結果だったのだ。


  畳のヘリに足先を取られる父を見るにつけ、


    そう思わずにはいられない最近の私なのです。




  



  
   ちなみに……、


  11-11-24_1144A.jpg


     昨年これだけ実を結んだ柚子の木も、


       今年は全くと言っていいほどの不作です。



  その代りと言っては何ですが……、


   12-10-17_1437.jpg


            レモンと、



  12-10-17_1438.jpg


             蜜柑が、


    少しばかり収穫できそうな今年の実家の庭です。











     本日のたもつさんは、



    12-10-23_1433.jpg


       私のヨーグルトを待っています、ブヒッ 





    
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No title

いろいろな果樹があっていいですね。
でも、お手入れ大変そう!!
たしかにこういう事でご近所さんと
親しくなっていきますよね。
わが家はさつまいもや大根を頂きました。
お返しを悩んでいます。
もらってばかりなので…

遅くなったけどお誕生日おめでとう!!
おいしそうなケーキ、ワンコ用なんですか?

たもつさんもヨーグルトすきなんですね(^O^)/
はなも好きですよ~

sachiさま

お手入れが……疎かになっています。
盆栽やらなんやらが趣味の父が集めたものですが、歳とともに手入れも追いつかなくなってきています。
フキやらシソやら色んなものが出てきますが、ご近所の方々が有効活用してくださるので取り敢えず無駄にはなっていないかな……と。

野菜を頂いたのならそれで一品作ってお裾分けしては如何でしょう?
他人様に作って頂いたものって特別美味しく感じられるので喜んで頂けるかも。

遅くなったけどお誕生日おめでとう!! ← ありがとうございます i-179
おいしそうなケーキ、ワンコ用なんですか? ← ぐふふ、人間用です i-278

ヨーグルトはお腹の調子がよくなるような気がして舐めさせています。

No title

柿って2年おき、なんですか。

うちの父と重ねて読んでしまいました。
病気をしてから思うようにならない身体と自分の頭で思うこととの折り合いがつかづイライラしていることが多く、それにまたイライラしている母がいて、どっちもどっち、の状態の我が実家です。
頑固な父 に 気の強い母
自分が側にいられないもどかしさと面倒くささ。
年を重ねてる事を自覚するって難しい事だなぁって思っています。

あ、自分の愚痴になってしまってますね。ごめんなさい。
お父様、今年はダメでも来年が楽しみですね。あ、でもたもつ先生やご家族にとっては安心できない?

paraさま

柿って2年おき、なんですか。 ← なにやら毎年豊作ってことはあまりないみたいです。柿も疲れちゃうんですかねぇ。

歳を重ねていくと、色々出てくるものですよね。
人って永遠に成長し続けるってことはないんだなぁとつくづく感じます。
身体の衰えは仕方ないとしても、精神的にも幼稚になったり辛抱がきかなくなったり……。
父親のことどこかで厄介だと思っている気持ち、これ、私自身否定できないんですよね。

自分が側にいられないもどかしさと面倒くささ。 ← ものすごく共感してしまいます。

色んな方のお話聞かせてもらえるのはとても嬉しいです。
愚痴でもなんでも(paraさんの愚痴に聞こえないけど)ジャンジャン語っちゃってくださいっ。

柿の実が生らないこと、最近はそれほど気にしてないみたいです。
しっかりスーパーで買ってきちゃってるし。
立ち直りが早いっていうか、忘れやすくなったっていうか…… i-229 
プロフィール

たもこ

Author:たもこ
生後2ヵ月で我が家にやってきた柴犬たもつ。
日々進化を続けるたもつと彼に翻弄される犬素人夫婦の日常を綴ります。
旧名たもつ先生です。
たもつ ♂ 
2007年10月19日生まれ

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