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心は既に決まっていた?


 
     ずーっと病気の記録が続くので、

   「気が滅入るわ」という方はスルー願います。



  4月3日(土)

 「高度医療センターへの紹介状を書いてもらおうか?」

     急展開でした。
  
  夫がどの段階でそう思い至ったのかは分かりません。

 「ガン疑い」を告げられてから初めての週末、

       事態は一気に動き始めていました。

   まずは行って話してみないと始まらない、

 私たちの不安を素直にぶつけ高度医療の先生の見解を聞いてみよう、

            そう話が纏まりました。


   4月4日(日)

  かかりつけ医に連絡、

「日本動物高度医療センター(JARMeC)」への紹介を依頼しました。

    診察予約が取れたのは10日(土)

 (まだ1週間もある、

不安に押し潰されそうになる中しっかりと立っていられるだろうか)

 患部を写真撮影してみると、

   デキモノが大きくなってきているように感じました。

     (できる限り毎日撮影していました)


   
   21-04-03_914.jpg


       4月3日。



   21-04-04_1855.jpg


    撮影が続きうんざりしたご様子の坊ちゃん。


  デキモノは実際、気付いた当初撮ったものより若干大きくなり、

           色も変化していました。

  メラノーマは成長スピードが速く転移もしやすいです。

 治療をせずにいた場合、生存日数の平均値は65日。

   放っておけば、あっという間に逝ってしまう病気なのです。

  ネット検索していると、

メラノーマのワクチンが既に承認されている国もあると知りました。

           日本は遅い……。


    4月6日(火)

 先日のブログにもある通り、

    家族で富士五湖方面へと足を運びました。

  (こんな時に?)と思われるかもしれませんが、

 こんな時だからこそ家族揃って出掛けることに意味があったと、

           今は思います。


 

   21-04-06-10.jpg

   
   談合坂のドッグランでは、

 はしゃぐでもなく淡々と周回を続けるたもつの姿を

      無言で撮り続ける夫の姿に、

   胸が張り裂けそうになりました。





  21-04-06-77.jpg


   (これがたもつと見る最後の桜になるかもしれない)

  時折そんな恐怖が胸を貫きましたが、

     敢えてふざけて笑って1日を過ごしました。

   (とにかくありきたりな1日を過ごそう、

          たもつを不安な気持ちにさせたくない)



    
    21-04-06_2229.jpg
   

   この日は私たちの結婚記念日でもありました。

      ケーキの登場にたもつも嬉しそうです。




   
    21-04-09_2355.jpg



    明日は高度医療の先生に診て頂く日。

  本人が不安を感じていないのがせめてもの救いでした。





    4月10日(土)

 「日本動物高度医療センター(JARMeC)」にて診て頂く日です。

  たもつは「食事抜き」を指示されていたので

     出発間際まで寝ていてほしかったのですが、

   そういう時に限り早々に目が覚めるようで。

 私たちが台所へ行く度「なにか出せば?」とやってきます。

      準備に慌ただしい振りをしていても、

 ふと目が合うと「おいらのご飯がないんですけど(怒)」と

          厳しい視線(笑)
 
   「ごめんね、たもちゃん。後でね」と宥めてはみるものの、

(後っていつ? もう食べることができなくなったり、しないよね?)

          不安は尽きません。


     9時過ぎに、家を出発。

  病院までの道すがら、夫は無言でハンドルを握り、

 私は車窓に映る荒川沿いの見慣れた風景を目で追っていました。

    たもつがなぜか落ち着き払っていたのを

            よく覚えています。
 

  病院に到着、診察室に入ると物腰の柔らかい先生に迎えられ、

         緊張が一気に解れていくのを感じました。
 
   その方がたもつが安心すると思ったのか、

    自分の気持ちを落ち着かせたかったからなのか、

  夫はたもつを抱えたまま椅子に腰を下ろしました。

    K先生は軽く挨拶を済ませると、

 問診票に目を遣りながらパソコンに向かい

      矢継ぎ早に質問を投げかけてきます。


・食欲・排泄は? → 問題ない。
・水を飲む量は? → 恐らく変わらない
             (計量できないので、実際は不明)
・体重が減った? → 2月に大腸炎になり少し減ったようだ。
  → 計測すると11.74キロ
   数日前かかりつけ医で測った時より少し増えていた。
・咳やくしゃみは? → ない。小走りで息が上がることもあるが。
・鼻血が出たことは? → ない。
・嘔吐は? → ない。
・体温を計測 38.2℃(平熱)

・触診
 触診中「お顔ナデナデしててくださいね」と言われましたが、

   何をされても平然としているたもつに

  「良い子ですねぇ」と先生目を丸くしておられました。

 このところ少し肋骨が出てきているかなと案じていましたが、

「肉付きは(結構)良いですね」と苦笑いされてしまいました(恥)

  「リンパのところ、ちょっと腫れがありますかねぇ」との言葉に、

           一瞬言葉を失ってしまいます。

  かかりつけ医は「リンパに腫れはない」と診断していたので、

      (こんな短期間で?)と、

      目の前が真っ暗になるのを感じていました。

・聴診

   「肺の音は綺麗です」と言われ、ひとまず安堵。

・口腔内の患部を確認しようとしたところで、

たもつが初めてガウガウと野蛮な声を上げました(先生すみません)
 
     「あぁ、お口見るのは嫌なのね」

そこですかさず夫がここまで撮り続けてきた患部の写真を見せると、

     「おぉっ! 助かります」と先生少し驚いた様子でした。

   そういう飼い主さんはあまりいないのかもしれません。

  「徐々に大きくなってきているように思う」と、

     最初の1枚を見せながら不安を訴えましたが、

 「飼い主さんは心配されて見守っているので

急成長しているように感じるかと思いますが……」との反応で、

   実際はそれほど急激な拡大ではなかったのかもしれません。
  

  画像を見ると間髪入れず「メラノーマですね」と。

     その酷くあっさりした診断に、

   今更ながら大きく落胆する自分がそこにはいました。

 (私まだ、どこかで淡い期待を抱いていたんだ。

         ……バカみたいだな)

  たもつの口を強引に開けることはせず、

 先生は長い綿棒を2本持ち患部をサッと拭いました。

・既往歴(前庭疾患)について

 「既に5回繰り返しているので麻酔が心配」だと伝えましたが、

   先生の中でそれはあまり大きな問題ではないようでした。
 
 
  たもつが愚図ることもなく、

   診察は思いの外手際よく進んでいきました。

 日頃はせっかちな私が、

なぜか皆に置いて行かれているような気分になり、

   (どこかでブレーキを踏まなくちゃ!)と

      そんな焦りすら感じていたのです。
 
 (こんなに急ピッチで進んじゃって大丈夫?

「全身麻酔は怖い」って言うべき? でも、どのタイミングで言う?)

 (このままだと「全身麻酔ありきで来ている」って思われるよね。

    夫は麻酔に否定的だし、どうする? どうするのよー!)



  「何れにしろ、

 麻酔をかけてしっかり検査しないと始まらないってことですよね?」


              !?


   さも「当然」のようにそんな台詞を口にしたのは、

            隣にいた夫でした。


    (え? いつの間に、気持ちが固まった?)

 (……っていうか、

 ここへ来るまでの間に既に気持ちを固めていたんかーい!?)


  ここからはとんとん拍子に全身麻酔での検査が決まりました。

   「では、たもつちゃんをお預かりしますね」

     リードが飼い主の手から先生の手へと移るも、

         たもつは一切動じません。

  (初めましての先生なのに? 

   もはや、ギャウギャウ言う元気すらないのか!?)

 たもつを先生に奪われ(←言い方!)、

(あ、本当に決まったのね。全身麻酔かけること、決まりなんだね)と

     妙に寂しい気持ちになったのを覚えています。




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     リードが私たちの手を離れているというのに、

       違和感を覚えていない坊ちゃん。



  この後は、血液検査・レントゲン撮影を経て、

 全身麻酔でのCT検査・病理検査という流れになります。

   事前検査の結果次第では、

 全身麻酔は難しいという判断になる可能性もあるとのことでした。

 「麻酔からの覚醒を含め夕方5時くらいまで掛かる」とのことで、

   (これは大変な検査なんだ)と改めて実感させられます。


   「それではたもつちゃんをお預かりしますね」

  去り際たもつに目を遣りましたが、

    彼はもう私たちに関心を示すことはありませんでした。

 (いやいや、私たちを目で追ったりするでしょ、フツー)

   (切ない表情でも浮かべられたら、堪らず泣いちゃうよ)

  名残を惜しむ私をよそに、

 たもつはもう先生の回転椅子の向こう側に陣取り、

    リラックスした様子で伏せをするところでした。

  私たちの期待を見事に裏切り、

    たもつは既に先生の犬、

 ……じゃなくて、先生のワンコになっていたのです。

    (泣かれなくて良かった、そうだよそうだよ)

  自らの不甲斐なさに打ちのめされながら、

      私は自身をそう慰めていました。

 検査にかなりの時間を要することから、私たちは一旦帰宅。

    たもつを抱えず帰宅するその虚しさは、

         表現の仕様がありません。



     ……まだまだしつこく続きます。





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プロフィール

たもこ

Author:たもこ
生後2ヵ月で我が家にやってきた柴犬たもつ。
日々進化を続けるたもつと彼に翻弄される犬素人夫婦の日常を綴ります。
旧名たもつ先生です。
たもつ ♂ 
2007年10月19日生まれ

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