高齢の柴犬に多い……
前記事ではみなさまを驚かせてしまい
申し訳ありませんでした。
続きです。またまた長いです。
以下、夜間診療してくださった先生による説明です。
たもつの症状から考えられる病名は「前庭疾患」
たもつの症状をおさらいしてみると……。
・ 頭が一方に傾いている(斜頸)
・ 眼が振れている(眼振)
先生は「垂直に振れている」と仰っていましたが、
私たちには「水平に振れている」又は
「グルグル回転している」ように見えました。
この違い、とても重要です。
・ 立ち上がることができずジタバタする。
・ 嘔吐する(これは診察室で1回ありました)
先生に促され診察室に入ると、
たもつは壁にもたれかかるように、
それでも傾いた頭をしっかり上げた状態で、
床に身体を伏せていました。
表情は……、まさにポカーンといった感じ。
たもちゃん、可哀相に。
先生がたもつを診察台に乗せなかったのは
不規則な動きをして落ちてしまうのを避ける為だったのでしょう。
後にそう気付くことができましたが、
やはり床に寝かされていたことには少なからず衝撃を受けました。
前庭疾患には2種類あって、
・ 中枢神経系の前庭疾患(比較的稀なケース)
脳幹や小脳に異常があるもの。
眼振では、垂直での振れが見られる。
MRIでの診断となるので全身麻酔が必要になる。
……ということから、最終診断となりやすい。
主な原因は外傷・髄膜脳炎・腫瘍・脳梗塞。
・ 末梢神経系の前庭疾患(多くはこちら)
内耳や耳と小脳や延髄をつなぐ前庭神経に異常があるもの。
主な原因は中耳炎・内耳炎・老犬での特発性前庭疾患。
特発性前庭疾患では、
弱りがある側への斜頸・眼振・ふらつき等が見られる。
この場合の眼振は、「水平」「回転性」のもの。
後遺症として斜頸が残ることも。
ちなみに、特発性前庭疾患は
「高齢犬、なかでも柴犬に多い」のだそうです。
そうなんかー(泣)
発症すると「激しい船酔い」に襲われているような状態になる。
……ということで、
たもつが身体を起こそうとしては横に倒れていたのは、
目が回り上下左右の感覚も麻痺してしまった状態だったから……
なのですね。
先生から説明を頂いている最中、たもつが嘔吐しました。
先生が素早く処理してくださったのですが、
たもつが足周りを気にしていると、
「気持ち悪いね。ここも拭こうね」と
優しい気遣いも見せてくださいました。
嘔吐物に未消化物はなく胃液のみ。
あぁ、今食べてるフード、ちゃんと消化できてるんだなぁ。
胃腸の調子は良さそう。
騒ぎの最中、私はそんなどうでもいいことを考えていました。
……にしても、たもつは壁にもたれ掛かったまま、
足腰立たないような状況です。
たもつはいったいどうなっちゃうんだろう……。
身体の自由が利かないこの状況がいつまで続くのか、
先生もなんだか言いあぐねているようにも見えます。
「先生。こんな状態で、排泄は難しいですよねぇ?」
「うーん。たぶん、このまましちゃうことになると思います」
え? このまま……?
ウ○チするのに屈んで踏ん張っていたものを、
このまま(寝たきりで)垂れ流さなきゃならないことになるの?
表情こそ見えませんでしたが、
夫もまた言葉を失っているのが分かりました。
昨日はあんなに走り回っていたのに?
このまま寝たきりみたいになっちゃうの?
それからひと通り説明を頂きたもつの方へと目を遣ると、
あれ? 眼振が止まった?
しっかりこっちを見ているし、
心なしか表情も出てきているように見える。
ここで、先生が以下の処置をしてくださいました。
・ LR(ラクトリンゲル液)120ml注射
・ マロピタント(制吐剤)注射
・ グリセリン(脳圧降下剤)1ml/kg経口
これがかなり不味いらしく、口に含ませるのに難儀しました。
たもつは抵抗のあまり身体を捩じらせ、
その勢いのまま自然と足腰にも力が入ったようで……。
あ! 身体を起こしたね。
……っていうか、自分の脚でちゃんと立った!
覚束ない足取りではありましたが、
たもつはフラフラと歩き始めおまけにスンスンまで開始したのです。
投薬したとは言え、いやいや、そんな瞬時に効くはずない(笑)
先生も目を丸くしていました。
診察後たもつを抱え上げたのですが、
「弱っている方に頭が傾いてしまうと思うので、
そちらを支えてあげた方が良いかと思います」
はい。
……ん?
ついさっきまで右に傾いていたたもつの頭、
今は何事もなかったように
しっかり真正面を向いているではありませんか。
「あれ? ……大丈夫そうですね」
先生も、苦笑いです。
夜間診療で診てくださったこの先生、
説明が丁寧で分かりやすく、
また患者や家族の気持ちに寄り添ってくれる、
とても良い先生でした。
この後は掛かりつけ医のところへ。
状況をお話した後に、ひと通り検査をして頂きました。
・ 血液検査
基準値より多少はみ出している項目があるものの、
今回の症状に直結するような数値は見られず。
・ 血圧測定
ほぼ問題なし
最低血圧が若干高めなのは、
多少興奮状態にあるからでしょうとのこと。
・ 甲状腺機能
低値ではあるものの、前回検査より改善している。
これも、今回の症状には関連付けられず。
先生とあーだこーだお話。
先生曰く「脳幹や小脳に異常が見られる場合、
身体を真っ直ぐに保てなかったりするんですよね」
この時のたもつ、もう普通に立つことができていて、
診察台の上でも不安定さはありません。
しかも、前足をチョイチョイっと上げ、
隣室にいる看護師さんを呼びつける始末です。
脳に問題ないのが一番、
MRIなら全身麻酔になってしまいます。
結局、原因を究明することはできませんでした。
ならば、また同じ症状が出てしまった時、
飼い主にできることは何なのでしょう。
「先生。注射とかブチっと打つとかはできないんですか?」
「んー。痙攣とかではないのでー」
もし同じような症状が出たら、
今回同様夜間診療をしてくれる病院へ行くのがベスト
とのことでした。
それから、目が回ってふらつきがあるようなら、
電気を点け部屋を明るくしてあげるのが良いのだそうです。
明るくするだけで上下左右の感覚を掴みやすくなり、
パニックを少し抑えられるのだとか。
また、飼い主が眼振に気付きやすくなるのも利点です。
夜間診療の病院で処置をして頂いたこともあり、
掛かりつけ医では検査のみ。
それから、今服用しているお薬についても確認。
火曜日よりアポキル錠(痒み止め)を1日2錠服用、
これを1週間続ける予定でいたのですが、
2~3日中断することとなりました。
一般的にアポキル錠は副作用が出ないと言われていますが、
「たもつは薬に弱い」というのがここでの共通認識で、
「これまで症例がないと言っても、
たもつがその症例第1号にならないとも限らない」とのことで。
安全を見て、アポキル錠は中断。
もし痒み(炎症)が酷い時には、
プレドニン(ステロイド)を使うということになりました。
「末梢神経系の前庭疾患の場合、
ステロイドを処方することもあるくらいなので」と先生。
内耳の炎症が前庭疾患に繋がるということなら、それも納得です。
今回発症原因の1つに「老犬の特発性前庭疾患」と書きました。
たもつは12歳、
彼はもう老犬なんだということを改めて思い知らされ、
なんだか切ない気持ちになってしまいました。
あ、前庭疾患の症状の1つに食欲不振があります。
帰宅後のたもつはと言うと、
「お腹空いたー。なんかちょーだい♪」
ササミは爆食でしたが、フードは完全拒否。
本当にお腹が空いたら食べるよねーと思っていましたが、
結局フードには一切口を付けませんでした。
これを食欲不振と言っていいものか……。
※ 翌本日は、フードもしっかり食べてくれました。
幸いその後、それらしい症状は出ていません。
「症状が改善するのに数日、消失するのに数週間掛かる」と
書かれているのを見ましたが、
たもつの場合「斜頸」や「眼振」は数時間のうちに治まりました。
老犬の中でも比較的ヤング?なたもつは、
症状があまり重く出ずに済んだのかも……と、信じたいです。
昨夜もやはり私の頭に張り付いて眠りについたので
前夜のことが思い出され少々戸惑いましたが、
私自身ひどく疲れていたこともあり
悩む間もなく夢の中へ(笑)
倒れる前夜には夫が投げる靴下ボールを追いかけ
はしゃぎ回っていたたもつ。
それなのに…………。
年を取るって、こういうことなんですね。
たもつが誕生日を何度迎えようが、
私は彼を老犬と認められずにいたのかもしれません。
老犬と暮らしていくということと、
私はしっかりと向き合わなければならないんですね。
病院からの帰り、いつもの河原に寄りました。
ちゃんと歩けるかな、ちゃんと屈んでウ○チができるかな。
私たちのそんな不安をよそに、
強風の中、たもつはマイペースで歩き始めています。
さっきまでは全身の力が抜けていたというのに、
たもつはよく歩き排泄も問題なく済ませることができました。
私たちの心配をよそに更に先へ行こうとするたもつの姿に、
もう泣いていいのか笑っていいのか分かりません。

しっかり頭を起こし、こちらを見ています。

他にはなにも要らないから、
とにかく元気でいておくれ。
申し訳ありませんでした。
続きです。またまた長いです。
以下、夜間診療してくださった先生による説明です。
たもつの症状から考えられる病名は「前庭疾患」
たもつの症状をおさらいしてみると……。
・ 頭が一方に傾いている(斜頸)
・ 眼が振れている(眼振)
先生は「垂直に振れている」と仰っていましたが、
私たちには「水平に振れている」又は
「グルグル回転している」ように見えました。
この違い、とても重要です。
・ 立ち上がることができずジタバタする。
・ 嘔吐する(これは診察室で1回ありました)
先生に促され診察室に入ると、
たもつは壁にもたれかかるように、
それでも傾いた頭をしっかり上げた状態で、
床に身体を伏せていました。
表情は……、まさにポカーンといった感じ。
たもちゃん、可哀相に。
先生がたもつを診察台に乗せなかったのは
不規則な動きをして落ちてしまうのを避ける為だったのでしょう。
後にそう気付くことができましたが、
やはり床に寝かされていたことには少なからず衝撃を受けました。
前庭疾患には2種類あって、
・ 中枢神経系の前庭疾患(比較的稀なケース)
脳幹や小脳に異常があるもの。
眼振では、垂直での振れが見られる。
MRIでの診断となるので全身麻酔が必要になる。
……ということから、最終診断となりやすい。
主な原因は外傷・髄膜脳炎・腫瘍・脳梗塞。
・ 末梢神経系の前庭疾患(多くはこちら)
内耳や耳と小脳や延髄をつなぐ前庭神経に異常があるもの。
主な原因は中耳炎・内耳炎・老犬での特発性前庭疾患。
特発性前庭疾患では、
弱りがある側への斜頸・眼振・ふらつき等が見られる。
この場合の眼振は、「水平」「回転性」のもの。
後遺症として斜頸が残ることも。
ちなみに、特発性前庭疾患は
「高齢犬、なかでも柴犬に多い」のだそうです。
そうなんかー(泣)
発症すると「激しい船酔い」に襲われているような状態になる。
……ということで、
たもつが身体を起こそうとしては横に倒れていたのは、
目が回り上下左右の感覚も麻痺してしまった状態だったから……
なのですね。
先生から説明を頂いている最中、たもつが嘔吐しました。
先生が素早く処理してくださったのですが、
たもつが足周りを気にしていると、
「気持ち悪いね。ここも拭こうね」と
優しい気遣いも見せてくださいました。
嘔吐物に未消化物はなく胃液のみ。
あぁ、今食べてるフード、ちゃんと消化できてるんだなぁ。
胃腸の調子は良さそう。
騒ぎの最中、私はそんなどうでもいいことを考えていました。
……にしても、たもつは壁にもたれ掛かったまま、
足腰立たないような状況です。
たもつはいったいどうなっちゃうんだろう……。
身体の自由が利かないこの状況がいつまで続くのか、
先生もなんだか言いあぐねているようにも見えます。
「先生。こんな状態で、排泄は難しいですよねぇ?」
「うーん。たぶん、このまましちゃうことになると思います」
え? このまま……?
ウ○チするのに屈んで踏ん張っていたものを、
このまま(寝たきりで)垂れ流さなきゃならないことになるの?
表情こそ見えませんでしたが、
夫もまた言葉を失っているのが分かりました。
昨日はあんなに走り回っていたのに?
このまま寝たきりみたいになっちゃうの?
それからひと通り説明を頂きたもつの方へと目を遣ると、
あれ? 眼振が止まった?
しっかりこっちを見ているし、
心なしか表情も出てきているように見える。
ここで、先生が以下の処置をしてくださいました。
・ LR(ラクトリンゲル液)120ml注射
・ マロピタント(制吐剤)注射
・ グリセリン(脳圧降下剤)1ml/kg経口
これがかなり不味いらしく、口に含ませるのに難儀しました。
たもつは抵抗のあまり身体を捩じらせ、
その勢いのまま自然と足腰にも力が入ったようで……。
あ! 身体を起こしたね。
……っていうか、自分の脚でちゃんと立った!
覚束ない足取りではありましたが、
たもつはフラフラと歩き始めおまけにスンスンまで開始したのです。
投薬したとは言え、いやいや、そんな瞬時に効くはずない(笑)
先生も目を丸くしていました。
診察後たもつを抱え上げたのですが、
「弱っている方に頭が傾いてしまうと思うので、
そちらを支えてあげた方が良いかと思います」
はい。
……ん?
ついさっきまで右に傾いていたたもつの頭、
今は何事もなかったように
しっかり真正面を向いているではありませんか。
「あれ? ……大丈夫そうですね」
先生も、苦笑いです。
夜間診療で診てくださったこの先生、
説明が丁寧で分かりやすく、
また患者や家族の気持ちに寄り添ってくれる、
とても良い先生でした。
この後は掛かりつけ医のところへ。
状況をお話した後に、ひと通り検査をして頂きました。
・ 血液検査
基準値より多少はみ出している項目があるものの、
今回の症状に直結するような数値は見られず。
・ 血圧測定
ほぼ問題なし
最低血圧が若干高めなのは、
多少興奮状態にあるからでしょうとのこと。
・ 甲状腺機能
低値ではあるものの、前回検査より改善している。
これも、今回の症状には関連付けられず。
先生とあーだこーだお話。
先生曰く「脳幹や小脳に異常が見られる場合、
身体を真っ直ぐに保てなかったりするんですよね」
この時のたもつ、もう普通に立つことができていて、
診察台の上でも不安定さはありません。
しかも、前足をチョイチョイっと上げ、
隣室にいる看護師さんを呼びつける始末です。
脳に問題ないのが一番、
MRIなら全身麻酔になってしまいます。
結局、原因を究明することはできませんでした。
ならば、また同じ症状が出てしまった時、
飼い主にできることは何なのでしょう。
「先生。注射とかブチっと打つとかはできないんですか?」
「んー。痙攣とかではないのでー」
もし同じような症状が出たら、
今回同様夜間診療をしてくれる病院へ行くのがベスト
とのことでした。
それから、目が回ってふらつきがあるようなら、
電気を点け部屋を明るくしてあげるのが良いのだそうです。
明るくするだけで上下左右の感覚を掴みやすくなり、
パニックを少し抑えられるのだとか。
また、飼い主が眼振に気付きやすくなるのも利点です。
夜間診療の病院で処置をして頂いたこともあり、
掛かりつけ医では検査のみ。
それから、今服用しているお薬についても確認。
火曜日よりアポキル錠(痒み止め)を1日2錠服用、
これを1週間続ける予定でいたのですが、
2~3日中断することとなりました。
一般的にアポキル錠は副作用が出ないと言われていますが、
「たもつは薬に弱い」というのがここでの共通認識で、
「これまで症例がないと言っても、
たもつがその症例第1号にならないとも限らない」とのことで。
安全を見て、アポキル錠は中断。
もし痒み(炎症)が酷い時には、
プレドニン(ステロイド)を使うということになりました。
「末梢神経系の前庭疾患の場合、
ステロイドを処方することもあるくらいなので」と先生。
内耳の炎症が前庭疾患に繋がるということなら、それも納得です。
今回発症原因の1つに「老犬の特発性前庭疾患」と書きました。
たもつは12歳、
彼はもう老犬なんだということを改めて思い知らされ、
なんだか切ない気持ちになってしまいました。
あ、前庭疾患の症状の1つに食欲不振があります。
帰宅後のたもつはと言うと、
「お腹空いたー。なんかちょーだい♪」
ササミは爆食でしたが、フードは完全拒否。
本当にお腹が空いたら食べるよねーと思っていましたが、
結局フードには一切口を付けませんでした。
これを食欲不振と言っていいものか……。
※ 翌本日は、フードもしっかり食べてくれました。
幸いその後、それらしい症状は出ていません。
「症状が改善するのに数日、消失するのに数週間掛かる」と
書かれているのを見ましたが、
たもつの場合「斜頸」や「眼振」は数時間のうちに治まりました。
老犬の中でも比較的ヤング?なたもつは、
症状があまり重く出ずに済んだのかも……と、信じたいです。
昨夜もやはり私の頭に張り付いて眠りについたので
前夜のことが思い出され少々戸惑いましたが、
私自身ひどく疲れていたこともあり
悩む間もなく夢の中へ(笑)
倒れる前夜には夫が投げる靴下ボールを追いかけ
はしゃぎ回っていたたもつ。
それなのに…………。
年を取るって、こういうことなんですね。
たもつが誕生日を何度迎えようが、
私は彼を老犬と認められずにいたのかもしれません。
老犬と暮らしていくということと、
私はしっかりと向き合わなければならないんですね。
病院からの帰り、いつもの河原に寄りました。
ちゃんと歩けるかな、ちゃんと屈んでウ○チができるかな。
私たちのそんな不安をよそに、
強風の中、たもつはマイペースで歩き始めています。
さっきまでは全身の力が抜けていたというのに、
たもつはよく歩き排泄も問題なく済ませることができました。
私たちの心配をよそに更に先へ行こうとするたもつの姿に、
もう泣いていいのか笑っていいのか分かりません。

しっかり頭を起こし、こちらを見ています。

他にはなにも要らないから、
とにかく元気でいておくれ。
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