血が出たらビンタ
数日前のこと、
「教師がのこぎりを手に
『足を切ってやるから』と生徒を脅した」
というニュースが飛び込んできました。
え!? のこぎりで?
それは穏やかじゃないやり方だなぁ。
それで改めてニュースをよく読んでみると、
「小学校の理科の授業中、
言うことを聞かず席を立つなどしていた児童3人に対し、
のこぎりを手に……という指導をしてしまった」
……とありました。
これはなんだか……、
先生を責められないような気持ちになってしまいます。
まあ、事情はともあれ凶器を持ち出してしまったことは、
「不適切な指導」に当たるのでしょう。
私は自身が小学生時代に受けた
今の時代であれば「不適切極まりない指導」のことを
思い出していました。
あれは私が小学校高学年、
初めて彫刻刀を使う授業を受けていた時のことです。
刃物を扱う授業ということで、
先生も心なしかピリピリしていたことを覚えています。
「刃先を決して他人に向けないように」
「くれぐれも、ふざけて振り回したりすることのないように」
そして、更に先生は続けました。
「もし手を切って血が出るようなことがあったら、
その時は『ビンタ』だから!」
えーっ!?!?!?
クラス中がどよめきますよ、当然ですよね。
「先生先生! (刃が)ちょっと当たっただけだったら?」
「先生先生! 切れても血が出なかったら?」
ビンタされまいと必死なのは、
日頃から落ち着きがなく
先生からの叱責を多く受けている男子たちです。
「血が出なかったらセーフ。
だからみんな、気を付けて彫刻刀を使いましょう」
こうして、初めて彫刻刀を使った板彫り作業が始まりました。
日頃はそこここからヒソヒソ話の声が聞こえてくる教室内も
この日ばかりは静まり返り、
ただ木を削る音だけが響き渡っています。
授業時間も後半に差し掛かった時のことでした。
「先生! Iくん、血が出てる!」
えーっ!!!
みんなの視線が一斉にIくんに集まります。
見ると、Iくんは青褪めた表情まま、
ギュッと握り締めた左手を右手で覆い隠しています。
そんなIくんのもとへ先生が駆け寄ると、
「ビンタ! ビンタ!」
ふざけた男子たちがそう囃し立てました。
「ウルサイ!」
金切り声にも似た先生の一喝に、
クラスは途端に静まり返りました。
「見せてみなさい」
先生に促され開いたIくんの左手は真っ赤に染まり、
右手で受け切れなかった血液が
ボタボタと机の上に落ちるのが見えました。
「(怪我したこと)どうして言わなかったの!」
先生はIくんを問い詰めましたが、
(ビンタされるのが嫌だからに決まってるじゃん)
クラスのみんながそう思ったに違いありません。
先生は大きく溜め息を吐くと、
Iくんの手を自身のハンカチで覆いました。
「Iくん、保健室行こう」
そう促す先生の声は少し上ずって聞こえました。
(先生、自分自身に苛立ってるんだ)
可愛げのない私は、そんなことを思っていました。
「血が出たらビンタ」
緊張感を持って彫刻刀を扱うように……、
そう考えての先生の発言だったのでしょう。
先述ののこぎりの件といい、
子供を指導するって本当に難しいことなんだなと
そう感じた出来事でした。
うちの坊主だって、言うこと聞かない時はこうして、

訳の分からないお仕置きをしてましたからね。
「教師がのこぎりを手に
『足を切ってやるから』と生徒を脅した」
というニュースが飛び込んできました。
え!? のこぎりで?
それは穏やかじゃないやり方だなぁ。
それで改めてニュースをよく読んでみると、
「小学校の理科の授業中、
言うことを聞かず席を立つなどしていた児童3人に対し、
のこぎりを手に……という指導をしてしまった」
……とありました。
これはなんだか……、
先生を責められないような気持ちになってしまいます。
まあ、事情はともあれ凶器を持ち出してしまったことは、
「不適切な指導」に当たるのでしょう。
私は自身が小学生時代に受けた
今の時代であれば「不適切極まりない指導」のことを
思い出していました。
あれは私が小学校高学年、
初めて彫刻刀を使う授業を受けていた時のことです。
刃物を扱う授業ということで、
先生も心なしかピリピリしていたことを覚えています。
「刃先を決して他人に向けないように」
「くれぐれも、ふざけて振り回したりすることのないように」
そして、更に先生は続けました。
「もし手を切って血が出るようなことがあったら、
その時は『ビンタ』だから!」
えーっ!?!?!?
クラス中がどよめきますよ、当然ですよね。
「先生先生! (刃が)ちょっと当たっただけだったら?」
「先生先生! 切れても血が出なかったら?」
ビンタされまいと必死なのは、
日頃から落ち着きがなく
先生からの叱責を多く受けている男子たちです。
「血が出なかったらセーフ。
だからみんな、気を付けて彫刻刀を使いましょう」
こうして、初めて彫刻刀を使った板彫り作業が始まりました。
日頃はそこここからヒソヒソ話の声が聞こえてくる教室内も
この日ばかりは静まり返り、
ただ木を削る音だけが響き渡っています。
授業時間も後半に差し掛かった時のことでした。
「先生! Iくん、血が出てる!」
えーっ!!!
みんなの視線が一斉にIくんに集まります。
見ると、Iくんは青褪めた表情まま、
ギュッと握り締めた左手を右手で覆い隠しています。
そんなIくんのもとへ先生が駆け寄ると、
「ビンタ! ビンタ!」
ふざけた男子たちがそう囃し立てました。
「ウルサイ!」
金切り声にも似た先生の一喝に、
クラスは途端に静まり返りました。
「見せてみなさい」
先生に促され開いたIくんの左手は真っ赤に染まり、
右手で受け切れなかった血液が
ボタボタと机の上に落ちるのが見えました。
「(怪我したこと)どうして言わなかったの!」
先生はIくんを問い詰めましたが、
(ビンタされるのが嫌だからに決まってるじゃん)
クラスのみんながそう思ったに違いありません。
先生は大きく溜め息を吐くと、
Iくんの手を自身のハンカチで覆いました。
「Iくん、保健室行こう」
そう促す先生の声は少し上ずって聞こえました。
(先生、自分自身に苛立ってるんだ)
可愛げのない私は、そんなことを思っていました。
「血が出たらビンタ」
緊張感を持って彫刻刀を扱うように……、
そう考えての先生の発言だったのでしょう。
先述ののこぎりの件といい、
子供を指導するって本当に難しいことなんだなと
そう感じた出来事でした。
うちの坊主だって、言うこと聞かない時はこうして、

訳の分からないお仕置きをしてましたからね。
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