気を付けて行ってらっしゃい

朝の河原で、マッサージ三昧の坊ちゃん。

マッサージなんかより、
おかーさんはたっぷり歩きたいんだけど……。

「かーちゃん、なんで止めんのよ?」
甘やかすといい気になって
延々やらせるでしょーが。
陽当たりのいい河原、
ぽかぽか陽気に見えるけど、実は風ビュービュー。
お散歩の後、
刺すように冷たい風の吹き荒れる中買い物へ。
マンションの廊下で、1人の年配女性とすれ違う。
「風が強いのよ、気を付けてね」
強風に掬われそうになる身体を手にした杖で必死に支えながら、
彼女はそう言葉を残し去って行った。
彼女は恐らく、私の母と同じ時代を生きた人ではないかと思う。
その背中は小さく、物腰は柔らかい。
そんな彼女の名前を、私は知らない。
彼女が何階に住まっているのかも、知らない。
彼女とは時折エレベーターで乗り合わせる程度の仲なのだけど、
私が自転車を押していれば
「転ばないでね。気を付けて行ってらっしゃいね」と気遣ってくれ、
たもつを抱え夜道を行こうとすれば、
「すっかり陽が落ちちゃったわね。気を付けて」と心配してくれる。
「気を付けて行ってらっしゃい」
その言葉を掛けてもらえるのは、とても幸せなことだと思う。
そして、彼女のような人に、私もなりたいと思う。
自転車を押しマンションの裏扉を開けながら、
母のことを想い、泣きそうになった。

さっきから台所でずーっと粘っている。
ワンコ友達からプレゼント貰ってたとこ、
しっかり見てたもんね(汗)

「かーちゃん、
ケチケチしないで、出せばいーのに」
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