団子がない!
一昨日は中秋の名月、十五夜でしたね。
そんなことすっかり忘れてたけど、

荒川河川敷で見た月です。
夕刻だったので、薄っすらです。
荒川河川敷には、たま~に散歩にやってきます。

ついでに、葛飾ハープ橋

エヘヘ、ここは知らないワンコが多いんだよ。
緊張で笑顔も引き攣っちゃうよ。
翌日のことですが、実家の父から電話がありました。
「あ、俺。団子、どうしたんだ?」
「へ? 団子?」
「昨日、団子頼んだだろ?」
へ? 団子?
「団子買ってきてくれるようにって、頼んだじゃないかっ!」
頼まれてなんか、いないんですけどね。
離れて暮らす父が私に頼む買い物の用、
これ、会社勤めする同居の姉に伝言を頼むという意味なのです。
「○○(←姉のこと)に『帰りに△△買ってきて』って伝えてくれ」という電話、
これまでも何度となく受けてきました。
「米が足りないから買ってきてって伝えて」
「晩のオカズが足りないからって伝えて」
「煙草買ってきてって伝えて」
そのほとんどが「在庫はあるし」「オカズは足りてるし」といった、
緊急性も感じられない内容のものばかりなのですが……。
取り敢えず「伝えておくね」と返せば父も安堵するので、
その要不要を問わず、私はただ機械的に、
「じゃあ、そう伝えておくね」と答えるのです。
前日も確かに、父からの電話はありました。
「『キンカン買ってきて』って、伝えてくれる?
蚊に刺されちゃってさぁ、あっはっは~」
キンカンって、よく見るあれです。
キンカンって、まだたくさん余ってたじゃん。
実家を、前日訪ねたばかりでした。
瓶の1/3くらい残ってる筈だよね、
今年はもうそんなに使わないよね。
それでも、私はこう返します。
「じゃあ、そう伝えておくね」
そう答えることで父は安心するし、
むやみに探し回って混乱することもないからです。
実のところ、父の座る目の前にある筈なんですけどね。
それが翌日になって、あの電話です。
「『団子買ってきてくれ』って。
○○(←姉のこと)に伝えてくれって頼んだだろ!」
あの~、頼まれてませんけど。
「頼まれてないよぉ。
『キンカン買って』って頼まれたけど」
「キンカンなんか頼まないよ。団子って頼んだんだ!」
「え~、団子なんか言ってなかったよ~」
メンドクサイな~。
それでも……、
癇癪を起した父が唾を飛ばしながら話す姿が脳裏に浮かぶと、
私はただ口を噤んだまま、
嵐が行き過ぎるのを待つより外ありません。
「昨日は十五夜だったじゃないかっ!
廊下(の窓)開けて、ススキ飾って……。
団子買ってきてくれるのを、
楽しみにしてたんだっ!!!」
あ! へ?
そんなに楽しみにしてたの? 団子を?
月見団子を楽しみにしてた!……なんて、
まるっきり、子供が喚き散らす内容でしょ?
笑いを噛み殺しながらその一方で、
私は父のことが、なにやらひどく可哀相に感じられ……。
そして、娘に憐れみの気持ちなど抱かれている父に、
更なる悲哀を覚えてしまうのでした。
その後も興奮した父の気持ちが治まる気配は見られず……。
「じゃあ、私が聞き間違えたんだね。
申し訳ございませんでした」
電話口に鼻をすすり上げる音を擦り付けながら、
私はただ淡々と謝罪の言葉を口にしてみせたのでした。
泣く気もなければ、勿論謝罪の気持ちなど微塵もありません。
「うん、じゃあ」
そう言うと、父は早々に電話を切りました。
納得したとも思えませんでしたが、
ただ騒音が行き過ぎてくれた……そう思いました。
その後暫くすると、
父は再び私のところへ電話を寄越してきました。
「キンカンがないんだ。買ってきてくれるように言ってくれる?」
そしてその数時間後にも、
「目薬がないんだ。買ってきてくれるように言ってくれる?」
どちらも恐らく、買う必要のないものです。
癇癪を起こし無暗に責め立ててしまった娘の機嫌を伺いたかったのか、
頼み事を口実にただ人声を聞きたかったのか、
或いはすっかり呆けてしまい、
必要のない買い物をただ繰り返そうとしているだけなのか、
本当のところは娘の私にも分かりません。
ただ、日がな一日、暦を捲っては季節の移ろいを意識し、
暦の中の年中行事を気に掛け、
それらをつつがなく執り行い、安堵し、
それからまた次の季節行事を心待ちにするくらいしか楽しみの残っていない父のことを思うと、
月見団子を楽しみにすることを笑うことも責めることも、
この私にその資格などないのだと気付かされ、
明日また父の緊急性のない電話を受けることがあったとしても、
私はただ笑って「大丈夫だよ、伝えておくからね」と
答えてあげようと思うのです。
本当はすっかり忘れてしまっていたけれど、
団子を飾ってのお月見、
風情のあるものですよね。
最近のおいらは、

プルートの下に潜り込むのがマイブーム
そんなことすっかり忘れてたけど、

荒川河川敷で見た月です。
夕刻だったので、薄っすらです。
荒川河川敷には、たま~に散歩にやってきます。

ついでに、葛飾ハープ橋

エヘヘ、ここは知らないワンコが多いんだよ。
緊張で笑顔も引き攣っちゃうよ。
翌日のことですが、実家の父から電話がありました。
「あ、俺。団子、どうしたんだ?」
「へ? 団子?」
「昨日、団子頼んだだろ?」
へ? 団子?

「団子買ってきてくれるようにって、頼んだじゃないかっ!」
頼まれてなんか、いないんですけどね。
離れて暮らす父が私に頼む買い物の用、
これ、会社勤めする同居の姉に伝言を頼むという意味なのです。
「○○(←姉のこと)に『帰りに△△買ってきて』って伝えてくれ」という電話、
これまでも何度となく受けてきました。
「米が足りないから買ってきてって伝えて」
「晩のオカズが足りないからって伝えて」
「煙草買ってきてって伝えて」
そのほとんどが「在庫はあるし」「オカズは足りてるし」といった、
緊急性も感じられない内容のものばかりなのですが……。
取り敢えず「伝えておくね」と返せば父も安堵するので、
その要不要を問わず、私はただ機械的に、
「じゃあ、そう伝えておくね」と答えるのです。
前日も確かに、父からの電話はありました。
「『キンカン買ってきて』って、伝えてくれる?
蚊に刺されちゃってさぁ、あっはっは~」
キンカンって、よく見るあれです。

キンカンって、まだたくさん余ってたじゃん。
実家を、前日訪ねたばかりでした。
瓶の1/3くらい残ってる筈だよね、
今年はもうそんなに使わないよね。
それでも、私はこう返します。
「じゃあ、そう伝えておくね」
そう答えることで父は安心するし、
むやみに探し回って混乱することもないからです。
実のところ、父の座る目の前にある筈なんですけどね。
それが翌日になって、あの電話です。
「『団子買ってきてくれ』って。
○○(←姉のこと)に伝えてくれって頼んだだろ!」
あの~、頼まれてませんけど。
「頼まれてないよぉ。
『キンカン買って』って頼まれたけど」
「キンカンなんか頼まないよ。団子って頼んだんだ!」
「え~、団子なんか言ってなかったよ~」
メンドクサイな~。
それでも……、
癇癪を起した父が唾を飛ばしながら話す姿が脳裏に浮かぶと、
私はただ口を噤んだまま、
嵐が行き過ぎるのを待つより外ありません。
「昨日は十五夜だったじゃないかっ!
廊下(の窓)開けて、ススキ飾って……。
団子買ってきてくれるのを、
楽しみにしてたんだっ!!!」
あ! へ?
そんなに楽しみにしてたの? 団子を?
月見団子を楽しみにしてた!……なんて、
まるっきり、子供が喚き散らす内容でしょ?
笑いを噛み殺しながらその一方で、
私は父のことが、なにやらひどく可哀相に感じられ……。
そして、娘に憐れみの気持ちなど抱かれている父に、
更なる悲哀を覚えてしまうのでした。
その後も興奮した父の気持ちが治まる気配は見られず……。
「じゃあ、私が聞き間違えたんだね。
申し訳ございませんでした」
電話口に鼻をすすり上げる音を擦り付けながら、
私はただ淡々と謝罪の言葉を口にしてみせたのでした。
泣く気もなければ、勿論謝罪の気持ちなど微塵もありません。
「うん、じゃあ」
そう言うと、父は早々に電話を切りました。
納得したとも思えませんでしたが、
ただ騒音が行き過ぎてくれた……そう思いました。
その後暫くすると、
父は再び私のところへ電話を寄越してきました。
「キンカンがないんだ。買ってきてくれるように言ってくれる?」
そしてその数時間後にも、
「目薬がないんだ。買ってきてくれるように言ってくれる?」
どちらも恐らく、買う必要のないものです。
癇癪を起こし無暗に責め立ててしまった娘の機嫌を伺いたかったのか、
頼み事を口実にただ人声を聞きたかったのか、
或いはすっかり呆けてしまい、
必要のない買い物をただ繰り返そうとしているだけなのか、
本当のところは娘の私にも分かりません。
ただ、日がな一日、暦を捲っては季節の移ろいを意識し、
暦の中の年中行事を気に掛け、
それらをつつがなく執り行い、安堵し、
それからまた次の季節行事を心待ちにするくらいしか楽しみの残っていない父のことを思うと、
月見団子を楽しみにすることを笑うことも責めることも、
この私にその資格などないのだと気付かされ、
明日また父の緊急性のない電話を受けることがあったとしても、
私はただ笑って「大丈夫だよ、伝えておくからね」と
答えてあげようと思うのです。
本当はすっかり忘れてしまっていたけれど、
団子を飾ってのお月見、
風情のあるものですよね。
最近のおいらは、

プルートの下に潜り込むのがマイブーム

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