薄っすら日焼け
嵐もまだ過ぎ去らぬ昨日、
母の三回忌法要を執り行ってきました。
前日までは、
肋骨を痛めた父がお墓までの急な坂道を登ることができるだろうか、
雨混じりの強風の中お墓に花を供えたり線香を立てたりなどできるだろうか、
と様々案じておりましたが、
昨日は午前中から目の覚めるような青空が広がり始め、
当初の予想を裏切り、絶好の墓参り日和となりました。
「やっぱり『晴れ女
』がいるからだね~
」
母はいわゆる『晴れ女』、
行く先行く先雨が上がるという偶然も多く、
私たちが墓を訪れる日も、
しとしとと降り続いた雨がサッと上がるようなことも多かったのです。
少し汗ばむほどに日が差した昨日、
夫はいつものように精を出し、
いつものようにピカピカに母の墓石を磨き上げてくれました。
あ、先日肋骨を痛めみなさんにもご心配をいただいた父ですが、
昨日の三回忌法要、その父は参加をすることができませんでした。
肋骨を痛めてしまったこともあり、
益々足腰自由が利かなくなったことを責めるつもりはありません。
ですが、体調不良は連日の不摂生に因るものであることは明らかで……。
「(俺を置いて)みんなで行ってきて」などと力なく言われても、
おかしいだろうがーっ!
と嘆くことこそあれ、同情する気など起きる筈もありません。
母の墓を訪ねるのを誰より心待ちにしていたのは父。
夫を含めた家族で会食するのを誰より心待ちにしていたのも父だったのですから。
「本当にいいの? 連れて行った方が、いいんじゃないの?」
と夫は父のことを気遣ってくれましたが、
ええいっ! 自業自得じゃーっ!
との判断のもと、私たちは父を独り残し法要へと向かったのでした。
法要を済ませ実家へ戻ってみると、
父は相変わらずくすんだ顔色で、
薄っすら目を開けたまま横たわったおりました。
「お坊さんが、すご~く長くお経を読んでくれたんだよ」
(新盆の読経が短かったと、父は思い出してはぼやいているのです)
「お昼、美味しいのお腹いっぱい頂いてきました」
(夫にたくさんご馳走できるのを、父は常々楽しみにしているのです)
そんな耳触りのよい台詞も、弱り切った父の耳には届いていないようでした。
常日頃より偉そうに口にしていた、
プライドやら威厳とやらはいったいどこへ消え去ってしまったというのでしょう。
情けないやら哀しいやらが綯い交ぜになり、
私はただ強張った表情のまま寝そべった父を見下ろすことしかできませんでした。
気分を変えようと庭に出てみます。
庭の小さなプランターで所狭しと咲き誇っているのは、
父の自慢のチューリップ

先週実家を訪ねたときのことです。
「見た? チューリップ」と父。
「チューリップ?」
「俺が植えたんだよ。すごいだろ?
なんだか、変わった色のばっかりなんだけどな」
自信満々の様子で、チューリップのプランターへと私を誘う父。
「見たことないような珍しいのばっかりだろ?」
でもこれ、実は、昨秋私が贈った球根から花を付けたチューリップなのです。
「あれさ、私が買ってきた球根のだよ」
「へ? お前が買ってきたの? へぇーっ!」
大袈裟に驚いている訳でも私の発言を疑ってる訳でもありません。
父は、本当に、覚えてはいないのです。
昨秋チューリップを買って訪ねた後、
いつになっても球根を植える気配のない父のことが気になり、
尋ねたことがあったんですよね。
「ねぇねぇ、チューリップ植えた?」
「え?」
「この前買ってきたじゃん、球根10個」
「………………? うーん、ちょっと分からないな」
決してふざけている訳でないのは、父の表情から瞭然でした。
それ以上責めてはいけないような気がして、私は話題を変えました。
認知(症)の始まりかな、そう思いました。
「うーん、ちょっと分からないな」と呟いた父でしたが、
チューリップの球根、しっかり植えてくれていたんですよね。
10個のうち9個の球根が綺麗な花を咲かせてくれました。
ついでに、以前より植えられていたチューリップも。

どこに何を植えたか分からなくなっている実家の庭では、
思わぬところから思わぬ芽が出て、
予想外の艶やかな色を付けた花が開いていることがあります。
ついでに、山吹も。


日差しが眩しくて光っちゃってますけどね。
前夜から大荒れだった関東地方もその後は思いの外強い日差しが照りつけ、
自宅に戻って鏡を覗くと鼻の頭が薄っすら日焼けをしておりました。
夕方散歩、河原から見た東の空はこんな感じに。

桜満開で迎えた一周忌とは打って変わり、
昨日は、怒涛の三回忌を迎えた母の供養の一日だったのでした。
そうそう、高校時代の友人から、

こんな素敵な桜の便箋で手紙が届きました。
母の三回忌を思い手紙を認めてきてくれた友人の優しさに感謝です。
それから我が家の坊ちゃんは、
連日の留守番ですっかり寝不足になっていたようで、

本日はこの通り、

爆睡の一日となりました
母の三回忌法要を執り行ってきました。
前日までは、
肋骨を痛めた父がお墓までの急な坂道を登ることができるだろうか、
雨混じりの強風の中お墓に花を供えたり線香を立てたりなどできるだろうか、
と様々案じておりましたが、
昨日は午前中から目の覚めるような青空が広がり始め、
当初の予想を裏切り、絶好の墓参り日和となりました。
「やっぱり『晴れ女


母はいわゆる『晴れ女』、
行く先行く先雨が上がるという偶然も多く、
私たちが墓を訪れる日も、
しとしとと降り続いた雨がサッと上がるようなことも多かったのです。
少し汗ばむほどに日が差した昨日、
夫はいつものように精を出し、
いつものようにピカピカに母の墓石を磨き上げてくれました。
あ、先日肋骨を痛めみなさんにもご心配をいただいた父ですが、
昨日の三回忌法要、その父は参加をすることができませんでした。
肋骨を痛めてしまったこともあり、
益々足腰自由が利かなくなったことを責めるつもりはありません。
ですが、体調不良は連日の不摂生に因るものであることは明らかで……。
「(俺を置いて)みんなで行ってきて」などと力なく言われても、
おかしいだろうがーっ!
と嘆くことこそあれ、同情する気など起きる筈もありません。
母の墓を訪ねるのを誰より心待ちにしていたのは父。
夫を含めた家族で会食するのを誰より心待ちにしていたのも父だったのですから。
「本当にいいの? 連れて行った方が、いいんじゃないの?」
と夫は父のことを気遣ってくれましたが、
ええいっ! 自業自得じゃーっ!
との判断のもと、私たちは父を独り残し法要へと向かったのでした。
法要を済ませ実家へ戻ってみると、
父は相変わらずくすんだ顔色で、
薄っすら目を開けたまま横たわったおりました。
「お坊さんが、すご~く長くお経を読んでくれたんだよ」
(新盆の読経が短かったと、父は思い出してはぼやいているのです)
「お昼、美味しいのお腹いっぱい頂いてきました」
(夫にたくさんご馳走できるのを、父は常々楽しみにしているのです)
そんな耳触りのよい台詞も、弱り切った父の耳には届いていないようでした。
常日頃より偉そうに口にしていた、
プライドやら威厳とやらはいったいどこへ消え去ってしまったというのでしょう。
情けないやら哀しいやらが綯い交ぜになり、
私はただ強張った表情のまま寝そべった父を見下ろすことしかできませんでした。
気分を変えようと庭に出てみます。
庭の小さなプランターで所狭しと咲き誇っているのは、
父の自慢のチューリップ


先週実家を訪ねたときのことです。
「見た? チューリップ」と父。
「チューリップ?」
「俺が植えたんだよ。すごいだろ?
なんだか、変わった色のばっかりなんだけどな」
自信満々の様子で、チューリップのプランターへと私を誘う父。
「見たことないような珍しいのばっかりだろ?」
でもこれ、実は、昨秋私が贈った球根から花を付けたチューリップなのです。
「あれさ、私が買ってきた球根のだよ」
「へ? お前が買ってきたの? へぇーっ!」
大袈裟に驚いている訳でも私の発言を疑ってる訳でもありません。
父は、本当に、覚えてはいないのです。
昨秋チューリップを買って訪ねた後、
いつになっても球根を植える気配のない父のことが気になり、
尋ねたことがあったんですよね。
「ねぇねぇ、チューリップ植えた?」
「え?」
「この前買ってきたじゃん、球根10個」
「………………? うーん、ちょっと分からないな」
決してふざけている訳でないのは、父の表情から瞭然でした。
それ以上責めてはいけないような気がして、私は話題を変えました。
認知(症)の始まりかな、そう思いました。
「うーん、ちょっと分からないな」と呟いた父でしたが、
チューリップの球根、しっかり植えてくれていたんですよね。
10個のうち9個の球根が綺麗な花を咲かせてくれました。
ついでに、以前より植えられていたチューリップも。

どこに何を植えたか分からなくなっている実家の庭では、
思わぬところから思わぬ芽が出て、
予想外の艶やかな色を付けた花が開いていることがあります。
ついでに、山吹も。


日差しが眩しくて光っちゃってますけどね。
前夜から大荒れだった関東地方もその後は思いの外強い日差しが照りつけ、
自宅に戻って鏡を覗くと鼻の頭が薄っすら日焼けをしておりました。
夕方散歩、河原から見た東の空はこんな感じに。

桜満開で迎えた一周忌とは打って変わり、
昨日は、怒涛の三回忌を迎えた母の供養の一日だったのでした。
そうそう、高校時代の友人から、

こんな素敵な桜の便箋で手紙が届きました。
母の三回忌を思い手紙を認めてきてくれた友人の優しさに感謝です。
それから我が家の坊ちゃんは、
連日の留守番ですっかり寝不足になっていたようで、

本日はこの通り、

爆睡の一日となりました

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