今日もフライ、明日もフライ
実家の父が、フライを買いたがります。
それも……、めったやたらに。
関係ないけど、「めったやたら」って「滅多矢鱈」って書くんですね。
なんで「鱈」なんだろ?
話が逸れました。
同居の家族によると、
父がめったやたらにフライを買い込んでくることに、
困惑しているそうなのです。
「昨日の買い物。アジフライとトンカツ。
今日の買い物。アジフライとカキフライ」
これ、家族からのメールです。
母がいた頃、
実家の食卓にはいつも手の込んだ料理が並んでいました。
そしてそれは、母がいなくなった今でも変わりません。
今は、日中留守を預かる父の為を思い、
冷蔵庫の中のほとんどを占めるのは父の好物ばかりです。
惣菜を買い込む必要などないこと、父は百も承知な筈なのです。
それでも、父はフライを買いたがります。
そんな父の様子を見る為、私は週に一度実家を訪れています。
「あのさぁ、ひと息吐いてからでいいからさぁ。
これ、買ってきてくれる?」
着いて早々父から手渡されるのは、
色褪せたメモ帳に記された買い物リストです。
そこにはやはり「カキフライ」や「トンカツ」など揚げ物の文字が……。
「あのさ。こんなに買っても食べきれないっしょ?」
「食べるよ~」
「ウソ吐け~。どうせ食べきれないよ」
「じゃあ、お前が持って帰ればいいじゃん」
……ってか、揚げ物とか全然食べたくないし
「要らないよ~。揚げ物なんか食べて○○(← 夫のこと)を太らせたくないもん」
「(お前がそんなで)○○くん可哀そうだなぁ」

そもそも惣菜を購入すること自体、
実家ではほとんどなかったことなんですよね。
そして、父が昔からフライに固執していたかと言うと、
私の記憶の中では「否」なのです。
思い返してみると、この春先にはこんなことも続いていました。
「お昼何にする~?」
「バーミヤン」
「バ、バーミヤン?」
※ バーミヤン : すかいらーくグループの中華レストラン
「ふ~ん、中華食べたいんだぁ?」
「ほら、これ。丸しておいたぞ」
得意満面の父の手には、
バーミヤンのデリバリーメニューのチラシが……。
……ってか、既に注文するもの決めてるし
「どれ見せて~。……って、これ多過ぎじゃない?」
赤鉛筆で色濃く丸印されているのは、
パーティーメニュー(5~6人前)を2セット。
「……ってか、2人で食べるのに多過ぎじゃね?」
「残ったらお前が持って帰ればいいじゃん」
ご想像の通り、
中華料理の残り物って油ギトギト麺カチカチで、
時間が経ってから食卓に載せるにはちょっぴり
……というか、ものすご~く躊躇われるものでして……。
それでもその日は有り難く頂いて帰りましたよ、勿論。
そして心優しい夫にも、油ギトギトを平らげるのを手伝ってもらいました。
この「バーミヤン攻撃」、その後ひと月余り続いたでしょうか。
「お昼何にする~?」
「もうバーミヤン注文したよ~」
……って、ウソだろ?
その後、バーミヤンばかり欲する父に問い質したところ、
「……だって、餃子が食べたいんだもん」
「もぉーっ! 餃子だけなら、お店で買ってくるよっ!」
その後暫くは惣菜コーナーの餃子のお世話になり、
今ではすっかり餃子に関心を示さなくなった感のある父。
連日同じものを食べたがってみたり、
連日同じものを購入したがってみたり、
自分が買ったことを忘れ、冷蔵庫の中がパンパンだと文句を言ってみたり……。
これが「老い」というものなのでしょうか。
それでも、好意的に取れる材料がない訳ではありません。
「これ、買い物行ってきてくれる?」
おいおい、またですか?
……っていうか、今日は余計な買い物はないよね?
若干げんなりしながら、
冷蔵庫の在庫と買い物リストとを見比べてみる私。
「あとはさぁ、お前が欲しいもの買ってくればいいじゃん」
数ヵ月前までの父は、
遠くの魚屋まで車を出したり庭の柿の木によじ登ったりと、
毎週飽きずに顔を出す私に持たせる土産を用意するのに、
日中奔走していたものでした。
その気力や体力を絞り出すのも、
最早難儀なことになったのでしょう。
買い物リストに託け、
父は私に「好きなものを土産に買ってこい」と言っているのです。
まったくもぉ、ボケちゃって……なんて思っていたけれど、
存外父はそれほど呆けていないのかもしれません。
母ちゃん母ちゃん。
「なぁに、たもちゃん?」
母ちゃんだって、たまにボケてるときありますよ

「ウソだぁ~」
だって、おいらにオヤツくれるのを忘れちゃったり、
おいらのオヤツ買ってくるのを忘れちゃったり
おいらのオヤツ作るのを忘れちゃったり……。
「オッケー分かった。私はまだまだ呆けてないもんね~
」
それでも将来、こんなことがあるやもしれません。
夫 「今日のお昼何にする?」
私 「お届けケンタッキー♪」
夫 (昨日ケンタも、今日もケンタ…………
)
父のことを責められませんね
それも……、めったやたらに。
関係ないけど、「めったやたら」って「滅多矢鱈」って書くんですね。
なんで「鱈」なんだろ?
話が逸れました。
同居の家族によると、
父がめったやたらにフライを買い込んでくることに、
困惑しているそうなのです。
「昨日の買い物。アジフライとトンカツ。
今日の買い物。アジフライとカキフライ」
これ、家族からのメールです。
母がいた頃、
実家の食卓にはいつも手の込んだ料理が並んでいました。
そしてそれは、母がいなくなった今でも変わりません。
今は、日中留守を預かる父の為を思い、
冷蔵庫の中のほとんどを占めるのは父の好物ばかりです。
惣菜を買い込む必要などないこと、父は百も承知な筈なのです。
それでも、父はフライを買いたがります。
そんな父の様子を見る為、私は週に一度実家を訪れています。
「あのさぁ、ひと息吐いてからでいいからさぁ。
これ、買ってきてくれる?」
着いて早々父から手渡されるのは、
色褪せたメモ帳に記された買い物リストです。
そこにはやはり「カキフライ」や「トンカツ」など揚げ物の文字が……。
「あのさ。こんなに買っても食べきれないっしょ?」
「食べるよ~」
「ウソ吐け~。どうせ食べきれないよ」
「じゃあ、お前が持って帰ればいいじゃん」
……ってか、揚げ物とか全然食べたくないし

「要らないよ~。揚げ物なんか食べて○○(← 夫のこと)を太らせたくないもん」
「(お前がそんなで)○○くん可哀そうだなぁ」





そもそも惣菜を購入すること自体、
実家ではほとんどなかったことなんですよね。
そして、父が昔からフライに固執していたかと言うと、
私の記憶の中では「否」なのです。
思い返してみると、この春先にはこんなことも続いていました。
「お昼何にする~?」
「バーミヤン」
「バ、バーミヤン?」
※ バーミヤン : すかいらーくグループの中華レストラン
「ふ~ん、中華食べたいんだぁ?」
「ほら、これ。丸しておいたぞ」
得意満面の父の手には、
バーミヤンのデリバリーメニューのチラシが……。
……ってか、既に注文するもの決めてるし

「どれ見せて~。……って、これ多過ぎじゃない?」
赤鉛筆で色濃く丸印されているのは、
パーティーメニュー(5~6人前)を2セット。
「……ってか、2人で食べるのに多過ぎじゃね?」
「残ったらお前が持って帰ればいいじゃん」
ご想像の通り、
中華料理の残り物って油ギトギト麺カチカチで、
時間が経ってから食卓に載せるにはちょっぴり
……というか、ものすご~く躊躇われるものでして……。
それでもその日は有り難く頂いて帰りましたよ、勿論。
そして心優しい夫にも、油ギトギトを平らげるのを手伝ってもらいました。
この「バーミヤン攻撃」、その後ひと月余り続いたでしょうか。
「お昼何にする~?」
「もうバーミヤン注文したよ~」
……って、ウソだろ?
その後、バーミヤンばかり欲する父に問い質したところ、
「……だって、餃子が食べたいんだもん」
「もぉーっ! 餃子だけなら、お店で買ってくるよっ!」
その後暫くは惣菜コーナーの餃子のお世話になり、
今ではすっかり餃子に関心を示さなくなった感のある父。
連日同じものを食べたがってみたり、
連日同じものを購入したがってみたり、
自分が買ったことを忘れ、冷蔵庫の中がパンパンだと文句を言ってみたり……。
これが「老い」というものなのでしょうか。
それでも、好意的に取れる材料がない訳ではありません。
「これ、買い物行ってきてくれる?」
おいおい、またですか?
……っていうか、今日は余計な買い物はないよね?
若干げんなりしながら、
冷蔵庫の在庫と買い物リストとを見比べてみる私。
「あとはさぁ、お前が欲しいもの買ってくればいいじゃん」
数ヵ月前までの父は、
遠くの魚屋まで車を出したり庭の柿の木によじ登ったりと、
毎週飽きずに顔を出す私に持たせる土産を用意するのに、
日中奔走していたものでした。
その気力や体力を絞り出すのも、
最早難儀なことになったのでしょう。
買い物リストに託け、
父は私に「好きなものを土産に買ってこい」と言っているのです。
まったくもぉ、ボケちゃって……なんて思っていたけれど、
存外父はそれほど呆けていないのかもしれません。
母ちゃん母ちゃん。
「なぁに、たもちゃん?」
母ちゃんだって、たまにボケてるときありますよ


「ウソだぁ~」
だって、おいらにオヤツくれるのを忘れちゃったり、
おいらのオヤツ買ってくるのを忘れちゃったり
おいらのオヤツ作るのを忘れちゃったり……。
「オッケー分かった。私はまだまだ呆けてないもんね~

それでも将来、こんなことがあるやもしれません。
夫 「今日のお昼何にする?」
私 「お届けケンタッキー♪」
夫 (昨日ケンタも、今日もケンタ…………

父のことを責められませんね

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