アーユーハッピー?

「たもつはうちに来て幸せと思ってるかな~?

……とは、何ごとも生真面目に考える夫の言葉

「何言ってんのぉ、幸せに決まってるじゃ~ん

……って、これ、呑気すぎる私の台詞

なんでこんなこと話してるかって言うと……、
数日前のことになりますが、
駅前で “変な人” を見掛けたんですよね

その日、最寄りの駅を出た時のことです。
突然、男性の尖った声が耳に飛び込んできたんです。
何やら人を責めるようなその口調に、
(わわっ、歩行者同士のトラブル?

と身を硬くした私だったのですが……。
「そういうの、犬にとっては良くないと思うよ~」
(ムムッ? ワンコの話ですか?)
「犬だって、そんなの嬉しくないと俺は思うんだよ」
(ワンコって、何処さ?)
……って、 ぎゃあ~、かわうぃ~



そこには、笑顔でちょこんとお座りするシェパードさんのお姿が

(ぎょえ~、挨拶しに行きたいーっ

「犬だってさぁ、人間の都合でそうやって飼われてさぁ」
(……ん?)
「そういうの可哀相だと思うよ、俺は」
「犬だって幸せじゃないよ、絶対」
年配のその男性、どうも、シェパードを連れたご婦人に向かい勝手に持論をぶちまけていたようでして……

(けど、その距離いったい何なのさ

シェパードに恐れをなしているのか、
男性はワンコとの距離を縮めることもなく(……というか遠ざかりながら)
なにやらブツブツ呟きながらその場を後にいたしました。
歩行者の妨げにならないようにと木の陰に佇んでいたシェパード連れの女性は、
一気に周囲の注目を浴びることとなり困惑の表情を浮かべ、
隣でお座りするシェパードは、
満面の笑みを浮かべたまま飼い主さんのことを見上げておりました。
ねぇねぇ、あのおっさん、なに言ってんのぉ~?
ワンコのそんな呟きが、聞こえてきそうな一幕だったのでした

(まったくもぉ~、変なおっさん見ちゃったよ~

……と思いつつ、
(え? 人間と一緒に暮らすの、ワンコは幸せじゃあないの?)
なんて、ちょっと心配に

だって考えてもみてくださいよ、

訳の分からぬまま我が家に連れてこられて

お母さん犬じゃなくて、私の膝の上で眠ることになって

意に反して首輪なんかされちゃったり

意に反して、カッパなんか着せられちゃったり

大きくなったら、我が家を守らなくちゃならなくなって
(あ、勝手に守ってくれてます


イタズラ好きの父ちゃんの遊び相手を務めてあげたり

寂しがり屋の父ちゃんに添い寝してあげたり
ワンコの一生って、なんだかとっても忙しい……

だから、答えてくれるなら訊いてみたい……、

たもつくん、キミは今、幸せですか?
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