繋いでください

　我が家のアイドルたもつさん、







　こう見えて、結構執念深いんです　





　ある形状のワンコを目の端に捉えようものなら……、









　　　　　
　　　　　　　　このこのぉおぉーっ　　　　





　それはなぜかと言いますと、



　たもつさん、０歳児の頃、ガッツリ噛まれているのです　



　黒くて大きなワンコに　



　↓　こんな感じで、犬歯が４本ガッツリ入っちゃって　



　
　

　　　（注）これ、ツボ押しの説明図じゃないです　



　しかも、ブンブン振り回されちゃって　




　　　ぎゃーっ



　っていうたもつの叫び声、今でも耳の奥に残っているほどです　




　　　ぎゃ～、死んじゃうよぉ　



　彼の悲痛な叫び声に、正直そう思いましたね　




　黒くて大きい方を引き離すのに、彼の飼い主さんも私も必死で、


　
　それでもなかなか離れなくて、



　それでもようやく引き離した後で目にしたたもつの怯えきった表情が……。





　実は、それまでとっても仲良くしてもらっていたんですよね、その飼い主さんと。



　黒くて大きいワンコもとっても人懐っこい子で、



　会えば飛んできて私の顔をペロペロという感じで。



　まさか、そんな大惨事が起きようなんて予想だにしないことで。



　その時も、彼の飼い主さんがたもつにオヤツをあげようとしていたんです、



　彼を近くのポールに繋いで。




　燥ぎ過ぎたたもつが飼い主さんのお散歩バッグに顔を突っ込んだのが彼の気に障ったのでしょう。



　あっという間に覆い被さると、



　彼はたもつを咥え、ブンブンと振り回したのです。





　その後は財布も持たぬまま病院に駆け込み、


　
　傷口を見ますから、ということでバリカンで毛を刈られ、



　まあ大事には至らなかったのですが……。





　それでも心のキズは予想以上に大きかったようで、



　今でも、黒くて大きなワンコを見付けると……、









　　　　　　　　　　やっつけてやるーっ　




　なんて、必要以上に興奮してしまうたもつさん　






　聞くところによると、たもつを噛んだその彼は、



　その前も後もたくさんのワンコを噛んでいるそうで……　


　
　じゃあ、「噛むかもしれません」とか言ってくれてもいいじゃん　



　なんてモヤモヤしながら……、






　今日も当たり前のようにノーリードで遊ぶ彼を遠くに捉え、



　独りギャアギャア興奮するたもつを宥めながら歩く私なのでした、



　ふぅ　









　今ならこんなお顔で、













　彼を恐怖のどん底に突き落とすこともできるんでしょうけどねぇ　














　　　　　どうかコワイ夢なんか見ていませんように