大事な人は

　我が家のたもつさんは、


　自分専用ベッドを持ちません。


　

　なぜならたもつさん、


　夫の布団から私の布団、ソファの上からフローリングの上と、


　あちこち渡り歩き転々と寝床を替えているからなのです。



　……で、上手いコトにたもつさん、


　私たちの消灯時刻を見越したかのように、


　先回りして布団を独占してしまうんですよね　








　あぁ～、そんな隙間に入り込まれちゃうと、布団に入り難いんですけどねぇ　










　あぁ～、そう言ってるうちに、スーピースーピー寝始めちゃいましたよ　



　うぷぷ、今夜も父ちゃんの布団を占領しているし　

　
　これで、父ちゃんが寝る時にバトル勃発ですな　






　勿論、布団に潜り込まれるコト自体私たちも何ら抵抗はないのですが……。


　問題は、そのタイミングなんですよね　





　たもつさん、


　布団を敷き始めると若干フライング気味に寝室に現れることがありまして　


　昨夜も夫が寝室の準備を整え始めると……、


　あ？　れ？　あれは、お尻を揺らして夫の後を追うたもつさんの後ろ姿では？　　


　……で、様子を覗きに行ってみると、











　えぇーっと　








　たもつさん、その体勢は？　










　えぇーっ　　　マットレスの上で小休止ですかぁ　




「たもちゃん、お布団敷きでも手伝いに行ったのかと思ったのにぃ　」


「父ちゃんも、たもつと一緒にサボっててどうするんですかぁ　」


　……とブチブチ言っている私に、


「俺だってぇ、たもつと一日遊んで過ごしたいよなぁ　」


　なんて夫が宣うものだから……　




「じゃあ、明日から父ちゃんの代わりに母ちゃんが働きに出ます　」


「たもちゃんの遊び相手をするのも、


　たもちゃんのご飯を準備するのも、


　たもちゃんのオヤツを手作りするのも、


　明日っから、ぜ～んぶ父ちゃんがやることになりますからねっ　」










　へっ　　　そうなのぉ～　



　なんだなんだぁ、そうだったんだぁ～　










　早く言ってよ、父ちゃ～ん　　　


　　　　　　　　……って、ベタベタ　









　そうならそうと、おいらと仲良くしようよぉ～　　　


　　　　　　　　　　　……なんて、イチャイチャ　










　明日も美味しいオヤツ、お願いしますねっ　　　　　




　　　　　　　





　たもつさんが損得勘定で生きているなんて……、




　決して信じたくはないんですけどねぇ