ごんの母ちゃん

　本来ならば、ワンコ先輩のごんちゃんや、







　サファイアちゃんの、








　ご紹介を、まずすべきところなのですが……　



　やっぱり、この方は外せないでしょう　

　……ということで、ご家族の中で最もその存在感を放っている　

　ごんちゃんとサファイアちゃんの母ちゃんのお話を。




　ごんの母ちゃんに初めて会ったのは、たもつが０歳、たくさんのワンコが集まるグランドでまだまだ人目（否、犬目か　）を気にしながら恐々遊んでいた頃のことです。


　ごんちゃんとサファイアちゃんを連れグランドに現れた彼女は、そこにいた他の誰より圧倒的な存在感を放っておりました　



「誰、これ？」

「た、たもつです　」

「去勢してる？」

「ま、まだですぅ　」

「じゃあ、ダメだ　　　ごんが怒るかもしれないよ　」



　ひゃ～　


　
　ところが……、
　
　ワンコ先輩のごんちゃん、空気も読めず鬱陶しく周囲を飛び回るたもつを一喝することもなく　

　サファイアちゃんも先輩のごんちゃんに倣い、たもつのバカ騒ぎを容認　


　僕ね“たもつ”だよ　　　“たもつ”って言うんだよぉ　


　なんて、猛烈アピールするたもつさんに、

　
　チッ　　　面倒臭いガキだ　

　なんて、本当は閉口していたのかもしれません　



　エネルギーの有り余っているたもつさんは、初対面のごんの母ちゃんにも遠慮なく飛び掛かり　

　
　こっ、これっ　　　止めんかいっ　


　しかしながら……、

　慌てふためく私の目前でごんの母ちゃんの手に掛かったたもつさん、

　なんとも頼りない感じで腰砕けに　




　へにゃへにゃへにゃ～



　
　いっ、今、どのような秘技をお使いに　


　ごんの母ちゃんに操られるように、たもつさんその後はずっと彼女に纏わり付き……　

　



　その後は、グランド脇の道を通る彼らを目敏く発見すると　、


　たもつさん、お尻に火が点いたように一気に加速　、


　グランド入口のネットを潜り抜け、


　一目散に彼らのお出迎えに上がるのです　　





　たもつさん、外へ出れば欠かさずごんの母ちゃん探し　

　おっ、あそこにいるのは　







「人違いみたいですよ　」





　ムムッ、この匂いは　







「ごんの母ちゃんは、マーキングなぞしないと思いますが　」




　ああ、今日は会えなかったぁ　　（虚無感　）







「まあまあ、そんなに気を落とさずに」






　ごんの母ちゃんを好きなのは、たもつだけに止まらず、


　彼女の周囲にはいつもワンコたちがべったりまったり、


　まるで、ムツゴロウさん（畑正憲氏）のようなのです。



　　




　ごんの母ちゃん、むやみやたらに撒き餌しているようにも見えないし……。


　う～ん。いったい何が、ワンコたちをそうさせるのか　



　猫にマタタビ、犬にイヌマン（※）と言いますが……。

※イヌマン（犬万）：ミミズを壺の中でグジュグジュに液化させたもの
　　　　　　　　　　　　犬が大好きな匂いらしい。


　あぁ確かに、ミミズの干からびたものを身体に擦り付けているワンちゃん、よく見掛けます　




　おっと、話が逸れてしまいました　


　ワンコたちの中で、絶大なる人気を誇るごんの母ちゃん。


　彼女の毛穴からは、ワンコを誘う汁でも出ているのでしょうか？



　今度、試しに嗅がせてもらおうかしら、ブヒッ