いつも探してるよ

　お散歩が大切なのは重々承知しているつもりですが、　


　台風の今後の動きにも注意が必要なので……







「たもちゃん、今日のお散歩はのんびりしていられませんよ」


　んなコト言ったって、おいらの友達にまだ会ってないじゃん　　


「だって、お友達とも毎日会えるとは限らないじゃないですかぁ」


　おいらは会う　　　誰でもいいから会う　
　なんだったら、知らないオジサンだってなんだっていいんだ　
　
　但し、ちゃんと構ってくれる相手に限る　


　



「あぁ、そうやって座り込んじゃいます？　」

「たもちゃん、河原にはもう誰もいないような気がしますよ」





　探してみないと分からないよ、この傾斜の上に誰かいるかもしれないし　







「見たところ、どなたもいらっしゃいませんよ　」





　ほら、もしかしたらこんなところに隠れているのかも　



　



「いやいや、そんな植え込みにはいらっしゃらないでしょ　」




　橋の上からだって、勿論ダブルチェック　　







「いやぁ、どなたも泳いでらっしゃらないですよ　」





　たもつさん、実は視力があまり良くないような気がしているんですよね。

　お友達ワンコだって、見付けてくれるのはいつもあちらから　

　こちらが先に気付いて飛んで行くコトは、まずないのです　




　そんなたもつさん、先日もトンデモナイ見間違いを　


　グゥ、グルグルグル　　　

　　　↑　妙な巻き舌　　　一応、警戒しています　


「え、なに？」


　私も一応目を凝らしてみると、前方から一人の男性の姿が……。


　更に目を凝らすと、男性の両側には何やら白いワンコのようなお姿が……。


「う～ん、知らないワンコのような気もしますが。気に入らない匂いでも発していますか？」


　グルグルグル　　　⇒　　ブハッブハッブハッ　


「い、いかん。興奮しておいでだ　」


　我を張るたもつさんを引き摺り、どうにかこうにか男性の視界から消えることに成功　

　
　ふぅ　





　その後暫くして、再び例の男性の姿を捉えた私たち。


　なぬっ　


「へっ　」


　男性の両側を固めていたのは、白いワンコでもなんでもなく、スーパーの白いビニール袋でした　




　
　そんなこともあり、私はたもつさんの視力を当てにはしていません。
　
　加えて、私の視力も一切当てにならず……。


　なにせ、ラブラドールレトリバーが、





　ジャックラッセルテリアに見え






　ウィペットが、






　シーズーに見えるほどですから。





　に、似ても似つかない　








「ねっ、雨降るかもしれないよ。たもちゃん、急いで急いで　」





　渋々……渋々……渋々……





「あ、綺麗　　　写真、写真っと　」







　おいらを急かしておいて、自分だって寄り道しているではありませんかっ　


「まあまあ　」




「お友達には、また明日会えばいいじゃない、ね？」


　　　　　


　……で、渋りながらもなんとかご帰還。






　たもつさん、暫く不満げな表情を浮かべておいででしたが、いつしか睡魔に襲われたようで……。









「ほらぁ、おうちの中にもいるじゃないですか、お友達　」